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「黒沢美香プロフィール」B

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「黒沢美香プロフィール」

 1957年横浜生まれ。踊る時は美香、そうでない時は美香子とするよう日本のダンス界のパイオニア石井漠氏により命名される。5才より舞踊家である両親(黒沢輝夫、下田栄子)のもとで踊りを習い始め町内会館で踊った「あひるのおばさん」が初舞台となる。以後、特に母からはスパルタでダンスを仕込まれ幼少にして早くから受賞歴に目立つが踊りが好きとは思わなかった。実際中学生からは不良に目覚め踊りなど恥ずかしくてやっていられず汗流して踊っている人を冷ややかに見ていた。78年(21才)初の渡米NYで意気揚々としたダンス現場に出くわしたある夜、魔法にかけられたように「自分は一生踊る。踊りしかやることはありません。」と星に誓う。当時はルイス・ファルコに憧れた。ダンスで人に憧れるという経験は初めてだったので純であった。82年(25才)再度の渡米ではダンスより音楽とパフォーマンスに出向くことが多くマイノリティーと密室での行為に強く惹かれていく。ダンスでは結果ジャドソングル-プにしか興味をもてずしかしジャドソンの活動は時代的にほぼ終わっていたのでその動向はほとんどライブラリーで追いかけていた。同時に自分の興味とは別に度胸修練の為に舞台を踏む人前に立つ現場に参加する機会は持ち続けたかったのでオーティションを受けては公演に参加しているうちにニナ・ウィナーの目にとまりニナのメンバーになってからはオーディション探しをもうしなくても済むようになった。当時ニナはNYで人気のある人だったので公演数が多かった。公演数が多いというのはその分リハーサルも多く(月)~(金)は連日お勤めのようにニナのスタジオに行きNYだけでなくアメリカ全土、ヨーロッパツアーに向けてのリハーサルが続いた。メンバーはリハーサルと公演で給料を得ていたのでダンサーという職業を初めて目の当たりにする。85年(28才)帰国後ラジオ体操第2の動きを基本にした偽装作戦踊りを発表してみたところ噂が流れて妙な人気を得る。日本のあちらこちらからリクエストされラジオ体操ばかり踊る毎月が数年続く。これは偽装行為であったのにあれから20年経った今でもラジオ体操を懐かしがられ本気で喜ばれたことに驚く。それらしても<ダンス>と云われてるものと自分が<ダンス>と指してるものにはどうにもこうにも違いがあることを痛いほど知るいよいよ偽装ラジオ体操とも離れると幸いにも小スペースとばかり縁ができ自分が信じるめくるめくダンスを運ぶことに爆走。このあたりで<黒沢美香&ダンサーズ>とむ名乗り恐いもの知らずの多量公演回数に明け暮れる。97年(40才)ソロダンス公演というものに憧れたこともなかったしそういうものはもうとっくにしたものと勘違いするほどソロは何度も踊っていた。ではいつしたのか。自分のプロフィールを自分で調べたら具体的にソロ公演という形態をとったことがないことを知りものすごく驚く。これまではコトの流れや意識もせずにソロで散々踊っていたようだ。なにかここで奮起すべき気持ちの隆起となり自分は本当にソロダンス公演なる大袈裟な設定をわざわざ起こす気があるのか。後々の「薔薇の人」となるパーツ土台(約30分)を踊る機会を探しては踊り踊ってはまた次の機会を探しながら何度も本番に乗せ自分に問う。ところがこれがやればやるほど面白い。30分では不満となり長編のソロダンスをしたい欲望ばかり高まる。しかし公演を打つ資金ナシ。公演をする目的の為に働いてはマメに小金を貯金する癖がつく。99年(44才)真面目な準備整い「薔薇の人-覗く-」で黒沢美香遅まきのソロダンサー宣言をする。以後「薔薇の人」はシリーズで「ROLL」「蝸牛の激情」「桃の園」「ハワイ」「めまい」と現在に至る。02年(45才)過去80年代に踊ったソロを並べる「いじくりまわしてとうとうこわしてしまうまでも」でもう一つ別のソロ活動を開始。結果ソロ二足ワラジとなる。03年(46才)過去80年代から発表した<黒沢美香&ダンサーズ>としての群舞作品を拾い並べてここからは「ダンス☆ショー」とくくることにした。十年前から計画していた別名偽装行為の名前を<風間るり子>と決定デビュー。風間を無国籍民族舞踊という出鱈目な看板にする。黒沢美香を偽装/否定した活動として或いは黒沢ではやり難いコトは風間に任せる。風間は笑顔で天真爛漫に踊ることにしているので子供やダンス敬遠者からも親しまれ黒沢にはなかった観客層の広さは新人ながら舞台数多い。結果ソロ三足ワラジとなって05年(48才)現在に至る。

(2004年11月)「ダンスの空間」@スパイラルホール/川崎徹氏との対談時に配布

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