黒 沢 美 香 (Mika Kuorsawa)
寿司屋や蕎麦屋があるように一般的ではありませんが踊り屋というのがあります。踊ったり教えたり振付けをして生計を立てている家庭に生まれました。家の中に稽古場があり寝ても覚めても踊りや音楽の中で育ったので世の中は芸術中心に回ってるのかと25歳まで信じていました。美を創るその境遇は夢のように素敵と思われるかもしれませんが寝ても覚めてもというのは吐きたくなるものです。芸は少女漫画のように厳しく仕込まれあれこれの受賞歴は他に類をみない数があります。それこそ売りたいほどあるのですが誰も買わないでしょう。踊りは上手いには上手いのですがダンサーらしい体系をしてないコンプレックスから人と違う踊り方をするようになったのが異端の始りです。美とはなにを指すのか。ダンスとダンスでないものの違いはどこで分かれるのか。80年代はポストモダンダンスの旗手と言われ最近ではコンテンポラリーダンスのゴッドマザーと言われています。これだけ長く踊りの世界にいる私ですがそのような複数の言い方がダンスにあるなぞ後から知りました。なになにダンスと名付けられても全く気にはなりません。茶ダンス洋服ダンスとさえ笑った時分もあります。私のソロ作業はダンスに於いてフリークス扱いされているかもしれません。私が最も愛する鳥肌のたつ作業です。このまま老いて倒れるまで踊ると予測していますが現在は47歳となりました。(2004年記)