木佐貫邦子との初対面は15,6歳の高校一年生です。互いに50歳になりますから長い付き合いです。この長い間、それはそれはたくさんの事がありましたがダンスとしては特に彼女に会わずして遠距離で互いを刺激し互いを鍛え今回のデュオに運ぶべき罠をちくちくと互いにかけ合っていたように思います。花や果実が成る迄に時間がかかったのではなくわざと時間をかけたのです。そして結果50歳を待つことになりました。
このような長い時間の約束をどちらから言い出したことか、定かではありませんが、当時まだずっと先のことであった50歳を貴方が貧相に踊っているわけがない。益々の重みと豊かさを備えた手強い50歳のダンサーになってるはず、と互いに互いを巧く嗅ぎ付けたのでしょう。貴方も私ももっと手強くなってから一緒にやりましょうと「待つ」。更に「待つ」という残酷な待遇と欲望。長く踊ったことに大した意義はありません。問うべき肝心は如何に挑んできたかだけです。と、頭では解っているのですがこの機会が実際に来たこと、ここまで生きていた事、踊りを続けられる環境を貴方も私も決して手放さなかったことの半世紀を思い出し何度も涙が出るものです。しかし作業では厳粛に貴方と対し高雅に火を起こすことのみに私を開きます。
黒沢美香
スタッフ:
振付・出演:黒沢美香 木佐貫邦子
照 明:アイカワ マサアキ
音楽構成・音響:関 克郎
衣 裳:堂本教子
舞台監督:原口佳子
宣伝デザイン:阿部壽
イラストレーション:サトウマサミツ
協 賛: (株)ポーラ化粧品本舗
助 成:芸術文化振興基金
企 画:黒沢美香・木佐貫邦子
制 作:今井敬子(木佐貫ダンスオフィス) ・平岡久美(Dance in Deed!)
主 催:木佐貫ダンスオフィス
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