―きみの踊りはダンスにしては重すぎる―「なんという寛容な肉」

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20年以上前から独りでも大勢でも<ダンサーズ>という名前でやってきた。ダンサーズは誰、と「人」を指すだけでなく「ダンスする身体」を指した。立ち上げから20年以上経過して会えなくなった人、いつでも会える人、突然にもゆっくりにも稽古場の景色は変動する。ダンサーズはこの数年間「ダンス☆ショー」中心に団体踊りをしている。ずっしりした肉が大勢でどすどす踊るので稽古場の床が抜ける寸前で修繕した。踊りは揃わずバラバラだ。不揃いのまま和音になる術は作ったものではなく何度も稽古を重ねるうちに毛穴から相手が染み込んで各自の身体が見つけた嬉々の不協和音だ。いつもの団体踊りをラストプラグラムに置いてこのアゴラの10日間ではどぎまぎしながら個の背景を差し出す。私たちは失態しては人らしく心細くなるのだが踊れば肥えて四肢があかるい牛のよう。

黒沢美香

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