まじめで正直が過ぎて偏った20才代の踊り 無責任と利那に賭ける身体40才代の踊り
今夜ワタシが踊る気になるかどうか

「クロソフスキー/アクタイオーンの水浴を覗くディアーナ」(2000年)
クロソフスキ−の変態性、エロス、無防備な状態は特別なことではなく自分にあるものなので
疑いなくテーマとして近寄ってみた。ソロ小品としては一番最近のもの。
クロソフスキ−だけにマニアに溺愛される。

「ロマンチックナイト」(1991年)
まだディスコと呼んでいた頃、新宿の<クロスポイント>という店が初演。
それ迄ストイックに踊っていたが勢いづけに弘田三枝子化粧をお手本に
顔を作り出鱈目に好きな音楽を並べてみた。
単純に発熱する身体なんて、それを<ダンス>と言えるのか?という
自分の疑問に自分で抵抗する。
後に黒沢特有の投げ出し放って晒す身体を得るきっかけとなる。

「椅子のアリア」(1987年)
国内外あちこちを廻った「船を眺める・・・」はこの椅子の踊りから始まった。
ミニマルダンスに強く憧れていた当初動き回らず
狭いエリアと僅かな動きだけでダンスが満ちることに執着していた。
後の黒沢美香作品に度々登場する<物>との関係、存在の忘却、
見せない<ダンス>の原点はこの椅子の踊り抜きには語れない。

「ラルゴ」(1996年)
短いソロを踊る時はいつもこの踊りを選ぶ。
どう踊るかどこから踊るかはそのスペースによってガラリと変わる。
持ち運び自由な踊りなだけに上演回数多いが
「ラルゴ」には何度逢っても逢うのが待ち遠しく黒沢は愛着を持ってる。

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