これはなんと読む『西空麗藝團』。
誇らしいその名前はニシノソラレゲイダンである。
自分の利害から道理を考えず、民間で企画を立ち上げるたった3人の“団”である。芸術を探し当て吟味しては走る。ぶつかる抵抗の中、走るはどれほどの挑戦と志しが基盤にあるか測りしれない。私はその“団”から指名された。一番大事にしてることに着眼してもらえてしみじみと嬉しい。そしてこれは『試合』であると心得た。『西空麗藝團』は有志3人が集まって金沢の街と人にプレゼント(贈もの)をしようとしている。このプレゼントは物ではないので手で触れない。出合いというプレゼントである。交感である。そんなこと誰も頼んではいない。頼まれてもいない。いわば不要かもしれないプレゼントを特別なアナタにお知らせしたいと走り回る。意力と情熱の維持なくして不可能な企てである。私はアナタを揺さぶって刺しましょう。これが『西空麗藝團』への返礼である。この贅沢をたのしんで頂けると信じてアナタに差し上げます。珍味をたのしんで頂けたらと願い金沢に参ります。
黒沢美香
2008 西空麗藝團加担プログラム
黒沢美香 金沢初公演
11月1日(土) 18:30 開演 「ロマンチックナイト」
11月2日(日) 15:00 開演 「牛」?
11月1日(土) 18:30 開演
「ロマンチックナイト in 金沢」
ダンス:黒沢美香
Public Acoustic:椎 啓
照 明:アイカワマサアキ
衣 裳:堂本教子・大野雅代
小道具:小林ともえ [Box]
鎌田幹子 [ノベルティー]
まだディスコという名前で呼ばれていた当時、新宿の<クロスポイント>という店で踊ったのが初演となる。この頃の私は踊りのように身体を動かすことに抵抗あり動かないこと立っていること座っていること転がっていることをもダンスと言いたかったので何年間も積極的に動かないことを選んでいた。するとなぜクロサワは踊らないのか!とうるさいので益々動かなくなる。そのようなある時ちょうど其処がディスコという環境だったこともありこれ見よがしの驚かせ踊りをいっそした。やるなら過剰がいい。踊りのように踊るのはイヤなのだがイヤなことをせっせとやる。境界の手前にいるから照れ臭い。突き抜けるのだ。武装として当時の弘田三枝子のような化粧やスパンコール、毛のショールが必要であった。あれから16年経ち私の中で変わったものも変わらないものもある。踊りのように踊るのは未だ抵抗ある。2004年のロマンチックナイトからは椎啓とアイカワマサアキが私の抵抗を更に逆撫でる音や明かりで飾り、衣装堂本教子が踊り馬鹿オンナのようにクロサワを仕立てた。
オレを踊らせるのか。踊りなんてfuck you。
- 黒沢 美香 -
11月2日(日) 15:00 開演
「牛」
硬質な欲望と地下の考察
わたしの牛の頭にそそぐ
ダンス:黒沢美香
音 楽:椎 啓
衣裳・美術:のぎすみこ
照 明:アイカワマサアキ
振付・ディレクション協力:首くくり栲象
1999年スタートした黒沢美香長編ソロダンス初の音楽家との共同作業。
初演時、そのパートナーとして、音楽家:野口 実との創作に取り組み、その音・時空を許容する(或はしない)セッションハウスという空間に挑んだ最新作。 今回、金沢 西空麗藝團のラブコールに応え、音楽家:椎 啓との金沢ver.を上演。
<身体の力をダンスと呼ぶ ダンスというより身体を考え、身体に出逢おうと試みる>
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